関南アルプス








関南アルプスに咲く花々


ヤマイワカガミ(山岩鏡) Schizocodon ilicifolius Maxim. var. intercedens (Ohwi) T.Yamaz.
 イワウメ科 イワカガミ属

  ヒメイワカガミの変種で、葉は長さ3.5〜10pの卵円形、基部は心形。葉の縁には10〜19対の三角状の鋸歯があります。 表面は鈍い光沢があり、裏面は粉白色。 葉柄は長さ3〜7p。花は直径1〜1.5p、白色〜淡紅色、花冠の先が細かく裂けています。(雄しべ5個、仮雄しべ5個は短い、雌しべ1個、柱頭はピンク色、萼片は5個)  北陸地方で見られるイワカガミに比べ、葉の形状が卵円形の他、@鋸歯の数が多い、A葉の肉厚も薄い、B光沢の度合が低い、C花の色が白〜薄紅色で見分ける事ができます。  同じ扱いをされるナンカイイワカガミは、花が殆ど白色で、葉先が尖り、葉の鋸歯がヤマイワカガミより少なく、3〜6対となっています。  ヤマイワカガミとナンカイイワカガミとの交雑種もあります。 この交雑種は鋸歯が6〜13対程度とナンカイイワカガミより多くなっています。 これをナンカイイワカガミに含めるという見解もあり、最近ではナンカイイワカガミとしている所もあります。 柱頭がピンク色でなければ、ナンカイイワカガミの可能性が有りますが、先ずは鋸歯の数で判断した方が良いと思われます。
  ヤマイワカガミの鋸歯が10〜19対に対し、ナンカイイワカガミは3〜6対、ヤマイワカガミとナンカイイワカガミの交雑種(これもナンカイイワカガミに含まれます)は6〜13対です。 

コバノミツバツツジ(小葉の三葉躑躅) Rhododendron reticulatum D.Don.
 ツツジ科 ツツジ属

 葉は枝先に3個輪生している事からミツバツツジの名前が付いていますが、その葉が小さいものをコバノミツバツツジと言います。 長さ2.5〜7p、幅1.5〜5pの広卵形〜菱状広卵形で、葉幅は中央部よりやや基部寄りが最も広く、若葉の両面には毛が密生します。 次第に毛が取れ、葉裏の脈が目立つようになります。 葉柄は長さ3〜7o、褐色の長毛が密生し、葉の展開時期の毛はほとんど白色である。他のツツジより花期が早く、葉の展開前又は同時に開花します。 雄しべは10個で、その内の5個の雄しべは短く、花糸も細い。 花糸及び花柱は無毛で、子房には白毛が密生しています。  萼には白毛があり、小花柄には白毛と黄褐色の長毛があります。
  ミツバツツジとの違いは、葉の大きさ以外に雄しべが5個しかありません。 

ヒカゲツツジ(日陰躑躅) Rhododendron keiskei
 ツツジ科 ツツジ属

  名前は日陰に生えることに由来しますが、日陰だけに生えている訳ではなく、日向や河岸の岩場でも生えています。(別名:サワテラシ)
  幹は灰褐色〜灰白色。葉は互生し、枝先に集まってつき、長さ3〜8pの楕円形〜長楕円形、先が尖り、先端に腺状突起があります。
  葉は細長く、薄い革質があり一見、シャクナゲ類の葉の様に思えます。 両面に円形の鱗状毛があり、葉柄は長さ2〜4o。若枝や葉柄にも鱗状毛があります。 花は枝先に2〜4個集まって付きます。   花冠は5裂し、直径4〜5p、淡黄色、部分的に紅をさす部分があり、外面に鱗状毛があります。 雄しべは10個あり、花糸の下部に白色の軟毛が散生します。  黄色のツツジは少なく、シャクナゲに近い形態をしています。

アセビ(馬酔木) Pieris japonica(Thunb.) D.Don ex G.Don subsp. japonica 
 
ツツジ科 アセビ属

 葉や茎には、有毒のグラヤノトキシンIが含まれているため、馬が食べると毒にあたって酔ったようにふらふらとした足取りになることから、馬酔木(アセビ)と書かれるようになったとされます。 当然、鹿や猪、カモシカなども良く知っており、これら動物の食害に遭わない植物で、鈴鹿の山などで、アセビだけが大きく成長している所があります。 殺虫剤の効果もあります。関南アルプス全域で見られる花です。

ドウダンツツジ(満天星・灯台躑躅) Enkianthus perulatus (Miq.) CKSchneid .
 ツツジ科 ドウダンツツジ属

 日本の本州(関東地方・伊豆半島以西)、四国、九州の低地に分布し、温暖な岩山に生えますが、自然の自生地は殆どなく、関南アルプスのものは、登山道を整備された際に、登山道沿いに植樹されたものが大きく成長したものです。 四ッ辻から大岩山にかけての登山道脇で見る事が出来ます。 秋には葉が赤く紅葉します。 

ショウジョウバカマ(猩々袴) Heloniopsis orientalis
 メランチウム科 ショウジョウバカマ属

 今までシュロソウ科でしたがAPG植物分類体系に準拠し、メランチウム科で統一されました。
 高さは10〜30pで、葉はロゼット状になり、へら形、長さ5〜20p、比較的厚く、紙質〜類革質で光沢があり、全縁。花茎には鱗片葉があります。 茎頂に総状に花を多数付けます。 花冠は淡紅色〜濃紅紫色など色の変化が多く、まれに北陸地方などで白色もあります。
 花披片は6個、長さ9.5〜16.5mm、花被片の基部はやや膨らみます。  雄しべ6個、葯は紫色。花被は花後に退色し下向きになり、その後、花茎は伸び、刮ハが上向きに大きくなります。 花被や刮ハは緑色になり、雌しべや花糸も残る。柱は明瞭に分裂せず、柱頭は頭状〜平たい頭状。葯は 実質的に2室(半葯は先の合流が未発達)。内側の花糸は子房から離れ、花糸は対応する花被片につく。隣り合う花被片は明瞭に基部で合着する。蜜腺嚢の底は普通、子房の基部の高さに位置する。刮ハは長さ約8o、3つにくびれ、熟すと淡褐色になり、裂開します。  種子は長さ4.5〜6o、両端に細い付属体があり、糸くず状。種子で増えるほか、葉の先端が地面につくと発根して新苗を作る不定芽でも増えていきます。 花期は3〜4月ですが、日当たりが良く、暖かい年では2月下旬にも咲くことが有ります。 「迫間不動」や「いちょうの道」などの湿った所で多く確認できます。

ジガバチソウ(似我蜂草) Liparis krameri Franch. et Sav.
 ラン科 クモキリソウ属

 名前の由来は、花の姿を蜂のジガバチに見立てて付けられました。
6月の上旬から中旬に掛けて咲きます。
 花茎は直立し、高さ8〜20pになり、10〜20個の花をつけます。
 花の基部に長さ1-1.5mmの微小な三角形の苞があり、背萼片および側萼片は線形で先端は鋭頭で、長さ10〜12mm、側花弁は糸状で反曲し、先端は鋭頭で、長さ8〜10mm、萼片と側花弁は緑色に紫褐色を帯びます。 唇弁は長さ6〜8mmになり、黄緑色で紫褐色の筋があり、先端は急に曲がって下垂して尖っています。 ジガバチソウは全域で点在ていますが、自然に同化してしまい、気づかずに通り過ぎてしまう事が多いですが、花よりは葉っぱの薄黄緑色と幅広い形で、探すことがポイントです。

エゴノキ(野茉莉) Styrax japonicus Siebold et Zucc.
 エゴノキ科 エゴノキ属

 花は両性花で短枝もしくは枝先の葉腋から分枝し数個がぶら下がって付きます。  花梗および萼は緑色で花梗は長く、よく目立ちます。    花の直径は約2.5p、花弁は白く深く5裂します。   雄蕊は黄色でよく目立ち、数は10本、雌蕊は1本あります。 花は真っ白に密集して咲くことから、遠くからでも認識でき、花が終わると、地面一面に落花の白い絨毯と化します。
  実も垂れ下がったようになり、長さ10 - 13 mmの卵球形で緑白色から灰白色をしています。  産直前にて、まじかに見ることが出来ますが、あちこちで確認できます。

カナメモチ(要黐) Photinia glabra (Thunb.) Maxim.
 バラ科 カナメモチ属
 
 名前の由来は、扇の要(かなめ)に使い、モチノキ(黐)に似るためとされます。
 開花時期は5 月ごろで、枝先に径約10 cm半球状の集散花序を出し、小さな白色の5弁花を多数つけます。 果実は球状で、先端が黒紫色で紅色に熟します。 
 全域で散在、確認することができます。
 生け垣によく使われる若葉が鮮やかな濃い紅色ものは、セイヨウカナメモチで、ベニカナメモチとオオカナメモチとの交雑園芸種です。

マルバアオダモ(丸葉青ダモ) Photinia glabra (Thunb.) Maxim.
 モクセイ科 トネリコ属
 
  名前のマルバは、葉の形や葉先が丸いことを表すわけではなく、葉縁に明瞭な鋸歯がなく滑らかであるためといわれています。 同種のアオダモには、明確な鋸歯があります。
 枝の頂きや葉腋に円錐花序が数個対生し、白色の4弁花を密に咲かせます。  。雄蕊は、雄花、雌花(両性花)とがあり雄蕊は2本、雌蕊は雌花(両性花)に1本あります。
  秋には、赤い実がなります。 全域で散在、確認することができます。

コバノガマズミ(小葉の莢ズミ)
 Viburnum erosum Thunb. ex Murray var. punctatum Franch. et Savat.
 レンプクソウ科 ガマズミ属
 
  直径3〜7pの散房花序に白色の小花を多数つけます。 花冠は直径約5oで、先は5裂し、平開します。 雄しべは5個、花序柄にも星状毛が多く、果実は長さ5〜7oの卵球形の核果、赤色に熟します。  

カマツカ(鎌塚) Viburnum erosum Thunb. ex Murray var. punctatum Franch. et Savat.
 バラ科 カマツカ属
 
  短枝の先の複散房花序に直径約1cmの白色の花を10〜20個つけます。   花弁はほぼ円形で、内側の基部にまばらに白い軟毛があり、雄しべは20個。花柱は3個。 実はナシ状で、長さ8〜10mmの倒卵形または楕円形。      10〜11月に赤く熟します。
   

ウワミズザクラ(上溝桜) Padus grayana (Maxim.) C.K.Schneid.
 バラ科 ウワミズザクラ属
 
  サクラらしからぬ白い小さな花が房状にたくさんつくのが特徴です。名前の由来は、古代の亀卜(亀甲占い)で上面に溝を彫った板(波波迦)に使われた事に由来し、葉がサクラに似ていることから「上溝桜」となり転訛したとされます。 木が大きくなることから遠目でみる事が多いです。
迫間不動前の駐車場周辺にありますが、高い所にあり、間近で見る事はできません。  登山道でも所々であります。

ガンピ(雁皮) Diplomorpha sikokiana (Franch. et Sav.) Honda
 ジンチョウゲ科 ガンピ属
 
  奈良時代から紙の原料として用いられており、枝の先に黄色の小花が頭状に数個集まってつきます。 花には花弁がなく、萼が長さ7 〜 8mm の筒状になり、先端が4裂して花冠状になります。(雄蕊は8個)花のイメージとしてはジンチョウゲの花を花数を少なくした感じです。 日当たりの良い所に生育します。 ジンチョウゲ科の仲間には、ミツマタ(黄色)、オニシバリ(黄緑〜緑の花)、コショウノキ(白色)などがあります。

ハクモクレン(白木蓮) Magnolia denudata Desr.
 バラ科 ウワミズザクラ属
 
  名前の由来は、ハス(蓮)に似た花をつける木の意味で、白い花である事にあります。 春、葉が展開する前に、白色の大きな花が上向きに咲きます。  各務野自然遺産の森から迫間不動に向かう途中に数本見られます。
 各務野遺産の森の「ヒスイ池」の池畔にもあります。

ネジキ(捻木) Lyonia ovalifolia (Wall.) Drude var. elliptica (Siebold et Zucc.) Hand.-Mazz.
 ツツジ科 ネジキ属
 
  和名の由来は、幹がねじれることから、あるいは樹皮の縦裂けがねじれることから名付けられています。
  花序の軸は、ほぼ水平に伸び、等間隔で下向きに白いつぼ形の花を多数咲かせます。 秋には黒い実となります。 関南アルプスの全域で見られます。

コアジサイ(小紫陽花) Hydrangea hirta (Thunb.) Siebold et Zucc.
 アジサイ科 アジサイ属
 
  アジサイ属に特徴的な装飾花は無く、すべてが普通花で両性花だけからなるのが特徴で、白色から淡青色の5弁花が密集します。 日陰の所を好みます。 

ズミ(酢実) Malus toringo (Siebold) Siebold ex de Vriese
 バラ科 リンゴ属
 
  染料となることから「染ずみ」、あるいは実が酸っぱいことから「酢実」ともよばれています。 花がカイドウ、リンゴ、ナシに似ることから別名、ヒメカイドウ、ミツバカイドウミヤマカイドウ、コリンゴ、コナシ、サナシなどが、付けられています。 枝はよく分枝して横広がりの樹形になると共にm短枝や小枝はトゲ状になる。 花は、直径20〜35mmで白色から淡紅色の花を3 - 7個散形状に咲かせます。 花弁は5枚で、雄蕊は20個つきます。
  多賀坂峠から薬師前山に掛けての尾根上で多く見られます。 明王山〜八方山、迫間山〜多賀坂山周辺にも、散在します。   

 花が終わると、形が桑の葉の様に3列になっていきます。(5列位になることもある) 花の無い時期に、これを知っていると、ズミの木を確認できます。

ツクバネウツギ(衝羽空木) Abelia spathulata Siebold et Zucc. var. spathulata
 スイカズラ科 ツクバネウツギ属
 
  名前の由来は、果実がプロペラ状の萼片をつけ、羽根突きの「衝羽根」に似ることと、枝の様子がウツギに似ていることに由来します。 開花時点でも長い、5個の萼片が観察できます。 花は枝の先端から共通花柄を出し、一か所から2つの花をつけます。 花冠は二唇状の鐘状漏斗形で、白色、黄白色、ときに黄色、まれにピンク色になります。 今まで確認されていませんでしたが今回、多賀坂峠にて確認をしました。 まだ、幼木のため、花数は少ないです。
  前述の通り、ウツギの名前が付いていますが、スイカズラ科に属し、ウツギ属はアジサイ科に属します。 

  ウツギと名がつく植物
 【スイカズラ科】:ツクバネウツギ、 タニウツギ、ニシキウツギ、ハコネウツギ、ウコンウツギ 、イワツクバネウツギ
 【アジサイ科】 :ウツギ、バイカウツギ、オオシマウツギ、オキナワヒメウツギ、オオバナオオシマウツギなど   

ナツハゼ(夏櫨) Vaccinium oldhamii Miq.
 ツツジ科 スノキ属
 
  花期は5月から6月にかけて、新枝の先端に長さ3 〜4 cmの総状花序を出し、多数の花を下向きにつけます。 萼筒は腺毛が散生する杯形で、先端は5裂し裂片は三角形となり先端は鋭く尖ります。 花冠は赤みを帯びた黄緑色で、長さ4 〜5 mmあり、鐘形で先端は浅く5裂し、先は鈍く反曲し、雄蕊は10本あります。 果実は径7 〜8 mmになる球形の液果で、黒色に熟し食用になり10月から11月にかけて熟し、ブルーベリーに似た黒褐色になります。 甘酸っぱいです。
関南アルプスの全域で見られます。

タツナミソウ(立浪草) Scutellaria indica L.
 シソ科 タツナミソウ属
 
 名前の由来は、漢字で書くと「立浪草」、花が咲くようすが、泡立って寄せてくる波を思わせるので付いたと言われます。
 花期は5〜6月で、茎の先端に長さ3〜8cmになる花序をつけて、やや密に2個ずつ一方を向いた唇形の花を穂状につけ、水平に開出した毛が多い。花はふつう紫色、ときに淡紅紫色があります。
 花は全く同じで、葉に濃い紫色の斑が入ったものを、シソバタツナミと言います。 全域に散在、確認できますが、少し陰った所に見られ、シソバタツナミも確認できます。 少し、日陰の中を好みます。

ヒメハギ(姫萩) Polygala japonica Houtt.
 ヒメハギ科 ヒメハギ属 

 名前の由来は、花がマメ科のハギに似て、全体に小さいことによります。
 花期は4〜7月で、山野の日当たりのよい、やや乾いた場所に生えます。
 花弁は3個あり、基部は合着し長さ6-7mm、下側の1個は先端が細裂する房状の付属体があります。 地面を這うように生えますので中々、見過ごしてしまう花です。

オオバノトンボソウ(大蜻蛉草) Platanthera minor (Miq.) Rchb.f.
 ラン科 ツレサギソウ属 

 別名、ノヤマトンボ又はノヤマトンボソウとも呼ばれ、丘陵や浅い山の林内に生え、茎は30〜60cm位になり、翼状の稜があります。  葉は互生し、下方の2〜3枚が大きく、その上のものは小さいです。 花は、まばらに付きます。 花期は6月下旬〜7月上旬

 葉っぱが良く似たヒロハトンボソウ(Platanthera fuscescens (L.) Kraenzl.との違いは、オオバノトンボソウは花数が、まばらに比べて、ヒロハノトンボソウは多数、付きます。 葉や背丈だけではオオバノトンボソウと見分け出来ません。 蕾の段階でも花数の多さで判断できます。

 ただのトンボソウ(Platanthera ussuriensis (Regel et Maack) Maxim.は背丈が15〜35センチ程と低く、ヒロハトンボソウと同じく多数、花を付けます。 葉が細長いので判別できます。 

ヒメヤブラン(姫藪蘭) Liriope minor (Maxim.) Makino
 キジカクシ科 ヤブラン属 

 ジャノヒゲ(Ophiopogon japonicus(Thunb.) Ker Gawl.)に似ていますが、ジャノヒゲより葉がやわらかく、花序はジャノヒゲが曲がるのに対し、直立します。 種子もジャノヒゲは青色に対して、ヒメヤブランはヤブランと同じく黒色になります。
 花は淡紫色か白色ですが関南アルプスで見るものは、淡紫色で長さ2〜3ミリと短い花柄で、ヤブランは、うつむき加減に咲くのに対し、上向きに咲きます。 花被片は6個あります。

 ヤブラン(Liriope muscari (Decne.) L.H.Bailey)の花茎が高さは30〜50センチで長さ8〜12センチの穂状花序を形成するイメージとは、全く違った咲き方です。 背丈が低いので、つい見逃してしまう花です。

スルガテンナンショウ(駿河天南星) Arisaema sugimotoi Nakai
 サトイモ科 テンナンショウ属 

 別名、エンシュウテンナンショウで、他のテンナンショウ属との違いとして、花序の付属体は下部が太く、上部に向かって細くなり、先がやや前に曲がって先端に縦長に径5mm以上の大豆状のふくらみがあります。(他のものは先端が丸くてふくらみは出来ません)

ミヤマナルコユリ(深山鳴子百合) Polygonatum lasianthum
 キジカクシ科 アマドコロ属 

 花が垂れ下がってつきます。 花被は6個が合着し、筒状、白色、長さ7〜21o、先は緑色を帯び、浅く6裂し、わずかに開く程度。 分枝せずに上部には稜があり、少し紫色を帯びて、アーチ状に斜上します。 
 全体に無毛で葉は互生し、長さ6〜11センチ、幅3〜4.5センチの長楕円形〜広楕円形、先が尖り、葉縁が波打ち、葉裏は粉白を帯びます。花は葉腋につき、花柄は細く、2〜3に分岐し、花が垂れ下がってつきます。
 間違いやすい種類との見分け方として
 ナルコユリ(Polygonatum falcatum 別名:ホソバナナルコユリ又は、ハガクレナルコユリ)は、別名の通り、葉が細い事と、花が葉の下に隠れる様にして咲きます。 その他、葉面の浪打ちがないことでも見分けられます。 他にはオオナルコユリ(Polygonatum macranthum)は背丈が1メートルを超え、葉の大きさ及び幅もかなり、大きくなりますので、見間違いする事はありません。花はナルコユリと同じく葉の下に隠れるように咲きます。

ササユリ(笹百合) Lilium japonicum Thunb.
 ユリ科 ユリ属 

 名前の由来は葉や茎が笹に似ていることにあります。
 迫間不動尊の境内が多くあり、その他に八方不動尊から明王山に向かう道脇に点在しています。
 迫間不動尊のものは、日陰になることのあり、開花の時期が1週間位ズレます。ピンクが鮮やかな右の写真が迫間不動尊のものです。 ササユリは発芽してから約7年間は開花しないとされ、笹のごとく草に、まぎれて成長します。 球根の鱗片からだと4〜5年で開花します。 オニユリなどで見られるムカゴはありません。 あまり日が当たりすぎる所は不向きの様で半日陰の所で、綺麗に咲いてくれますし、花の寿命も天気にもよりますが長くなります。 
  高知県、徳島県、香川県、宮崎県、大分県、山梨県では絶滅危惧T類、U類や準絶滅危惧種も含めると多数の都道府県で絶滅の危惧されていますが、岐阜県においては指定外です。

キリンソウ(麒麟草) Phedimus aizoon var. floribundus
 ベンケイソウ科 フェディムス属 

 名前の由来は別名を「キジンソウ」「キジグサ」とも言いまして「傷薬の草」を意味しており、これが転訛して「キリンソウ」となったとする説がある一方、中国の古書に登場する伝説上の動物麒麟に由来するという説もあります。 現在の漢字表記は「麒麟草」ですが、昔は「黄輪草」と書かれていたそうで、それが読み方から動物のキリンの漢字が当てられてしまったとも考えられます。
 伊吹山で良く見られますが、なぜ迫間不動尊付近に生えているのかは不明です。 
 徳島県、長崎県では絶滅危惧T類に指定されています。 他にも絶滅危惧U類や準絶滅危惧種になっている都道府県もありますが、岐阜県や滋賀県では伊吹山系に見られることから指定外となっています。 
  雑学として、秋に咲くアキノキリンソウは、全く異なる植物ですが、秋に咲くキリンソウの様な花ということで、名付けられたそうです。

ムラサキシキブ(紫式部) Callicarpa japonica Thunb.
 シソ科 ムラサキシキブ属 

 和名の由来は、紫色に熟す重なり合った実を京都では紫重実(むらさきしきみ)とよび、平安時代の女性作家である紫式部に例えたものだというのが通説でです。 紫色をした小さな丸い実が例えられているのですが、花も小さな淡紫色の花で、かわいい花です。
 よく似た仲間に、コムラサキ(Callicarpa dichotomaが有ります。ムラサキシキブが背丈2〜3mになるのに対して1.5m程で、果実の数が多くて美しいのでよく庭などで栽培される事が多いです。 又、花序は腋生かわずかに上から出るのに対して、コムラサキの花序は葉腋より少し上から出でます。葉の鋸歯にも特徴差がありますが小さいのと個体差もあり、あまり判らないと思います。 他にもヤブムラサキ(Callicarpa mollis Sieb. et Zucc.)があります。 葉の裏面には白色の星状毛が生えていて、とてもよい手触りで、花は葉の下に付くので、見分けが付きます。 

キイムヨウラン(紀伊無葉蘭) Lecanorchis hokurikuensis f. kiiensis
 ラン科 ムヨウラン属

 山地の林床や林縁などに、やや稀に生え、高さ20〜30cmの腐生ランです。
6月中旬から下旬にかけて、花茎の上部に鮮黄色の目立った花を3〜6個つけます。 花披は長さ1.8〜2.2cm.満開時は開くことは少なく、半分閉じた状態で見られることが多いです。

ホルトソウ(ホルト草) Euphorbia lathyris L.
 トウダイグサ科 トウダイグサ属

 原産域は南ヨーロッパや北西アフリカから南西アジアや中国西部にかけて広がっている帰化植物で、600年ほど前に輸入され、ときに栽培されて逸出したものが見られます。   生薬名を続随子(ぞくずいし)と呼ばれ、いぼ取りなどに用いられていました。    全体平滑で無毛、傷つけると白色の乳液を出します。 種子や根を含むホルトソウ全体は毒を持ち、触れるだけでもラテックスが分泌され、皮膚炎を起こします。   ウルシ類と同じく、触らないようにしましょう。   

関南アルプスには、色々な花々が多く咲きますので順次、追加していきます。